原状回復のトラブル回避方法<契約時編>

原状回復とは言葉の通り「原状」に復する、戻すことを指しますが、主に店舗や事務所などの事業用物件では、原状回復を含む賃貸借契約の内容が事業者同士の、いわば自由契約であるため、住宅などと異なり、入居時や退去時の状況によって詳細が異なります。タイトルのように、原状回復における退去テナントとの不要なトラブルや貸主様の想定外の損失を防ぐためには、「契約時」の対策と「想定外の事態に対する的確な判断・処置」が必要になります。様々なパターンがありますので今回は「契約時」対策一例をご紹介します。096588

書類作成

トラブル防止の基本ですが、やはり事前に細かく取り決めを行い、証拠として書面に残すことが大切です。その際、単に「借主は原状回復を行う」という表現のみで終えるのではなく、「原状回復における『原状』とは、~した状態である。」とはっきり契約書の中に記載しましょう。少し手間はかかりますが、『原状回復の内容を取り決めた書類』を作成し、部位ごとの仕上げまで指定するとより確実です。また、引渡時に物件の写真を撮影し、貸主借主双方で「原状」を確認・保管することも有効です。

 

内部造作がある状態での引渡

何も契約書に記載がなければ、テナントにとっては入居時の状態が「原状」と考えるのも無理はありません。当社が貸主様からよく聞くトラブルとしては、住宅を主として扱う仲介業者が、貸主様の考える「原状」(店舗はスケルトン、事務所は内装張り替え等)を契約書に記載しなかったために、テナントに十分な原状回復をしてもらえなかったり、有事に備えて預かるべき敷金・保証金の額が少なく損失がでてしまったというケースがあります。

入居時の状態が「原状+α」なのであれば、契約時に《「原状」と異なる状態で引き渡すが、退去時にはテナントにて「+α」の部分を撤去し必要に応じて補修等する必要がある》ということを確認し、必ず書面に残しましょう。

また、事業用物件の契約は自由契約のため、双方合意すれば、例えば入居時は前テナントが残置した壁紙のまま引き渡しをするが、退去時はテナント負担で貸主指定の壁紙に張り替える、といった条件で契約することも可能になります。

 

工事中の取り決め

契約時というよりは入居時ともいえますが、入居後の工事の際に追加で発生するテナントの原状回復義務にも気をつけなければなりません。工事の際に貸主様への承諾を得ずに、工事業者が躯体に穴をあけた、防水膜を傷つけた、指定外の場所に看板をつけた、という話はよく聞きます。これらの原状回復は想定外でしょうから、当然入居前に交わす契約書には謳われていないことが多いはずです。このような事案が発生したときにも、退去時に確実に原状回復をしてもらうことができるように、時間をあけずに原状回復義務の追加の約束を取り交わしをしましょう。

 

上記以外にも、案件により必要な準備は様々ですが、大切なことは、様々な事態・リスクを出来る限り契約前に想定し、テナントと折り合う条件にて合意をし、その合意事項をもれなく、わかりやすく反映させた書類を作成し保管するということです。

 

 

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By | 2016年9月20日

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