関東と関西の風習には大きな違いがあります。文化ひとつをとっても、言葉の違いや食の違いなど様々です。今回は、不動産の商慣習における関東と関西の違いについて取り上げてみました。
賃貸居住用において
敷金、礼金、更新料を題材に関東、関西、愛知の設定状況をまとめてみました。
敷金 | 礼金 | 更新料 | ||
---|---|---|---|---|
全国1位 | 広島 1.96 |
兵庫 1.23 |
東京 0.71 |
|
関東 | 東京 | 0.98 | 0.51 | 0.71 |
神奈川 | 0.82 | 0.32 | 0.58 | |
埼玉 | 0.73 | 0.20 | 0.57 | |
千葉 | 0.80 | 0.18 | 0.65 | |
中部 | 愛知 | 0.79 | 0.16 | 0.08 |
関西 | 大阪 | 0.23 | 0.93 | 0.04 |
京都 | 0.55 | 0.81 | 0.57 | |
奈良 | 0.32 | 0.88 | 0.04 | |
兵庫 | 0.41 | 1.23 | 0.04 | |
全国最下位 | 大阪 0.23 |
鹿児島 0.00 |
北海道 0.01 |
※単位は○か月
全国の賃貸マンションの⼀時⾦共同調査結果(2020年2月27日公表)
編集・発⾏︓東急住宅リース株式会社/ダイヤモンドメディア株式会社より
敷金は、関東のほうが関西より高い設定をしている傾向でした。特に大阪府は全国最下位で敷金ゼロ物件が全体の77.8%の多さでした。
次いで礼金は、敷金とは逆で関西のほうが多い傾向にありました。特に兵庫県は1.23ヶ月ですので多くの物件で1ヶ月以上の設定をされている傾向にあります。
最後に更新料は、関西ではほぼゼロという結果でしたが、京都府だけは例外で関東並みの設定でした。要因として、京都では都心部は狭い上に、古都保存のため建築制限が多く、大規模な公営、賃貸住宅が建てられないため、更新料の設定があっても成立する貸手市場ではないかと思われます。
関西の賃貸でみられる商慣習「敷引き」とは
関西では敷引きという文化が住宅を中心に根付いています。敷引きとは、契約時にあらかじめ原状回復の金額を設定し、敷金や保証金から差し引く性質のものです。似たような用語で「償却」というものもございますが、原状回復に充当される敷引きに対し、償却は原状回復に充当しない場合があるという点で異なるものとなっています。
昨今では平成10年に「原状回復をめぐるガイドライン」が公表されて以降、敷引きは一般的に実際の原状回復費用よりも高く設定することが多く、争点になった場合に借主不利と認められることもあり、現在は敷引きでの設定は減りつつあるようです。
敷引きの場合入居時に原状回復の金額を設定している点で、結果的に退去時に想定よりも多い費用が発生した場合にトラブルになるので、このような面でも敷金という形でお預かりし、原状回復時にその都度金額の精査はしたほうが貸主のリスクは低くなるかと思います。
また、事業用においても敷引きの設定がされている物件もみられましたが、少数でした。
畳の大きさの違い
畳の大きさにも東西で若干の差があります。関東の畳『江戸間(えどま)』は1760×880mmですが、関西の畳『京間(きょうま)』は、サイズは1910×955mmと少し大きめとなっています。
元来京都を中心とした近畿地方では、畳のサイズを元に柱を設置し部屋の大きさを決めていく設計方法が一般的でした。しかし、江戸時代になると柱と柱の間の長さに畳のサイズを合わせる柱割という方法が採用されるようになりました。こうした背景があり『江戸間』は柱の太さの分だけサイズが小さい、長辺が5尺8寸(1760mm)サイズの畳になりました。
関西では古い建物が多く残っているため現在も京間が使われていますが、関東では比較的新しい物件が多いため江戸間が普及しているようです。
面積にすると、江戸間が1.5488㎡、京間が1畳1.8240㎡ですので大きな差はないようにも見えますが、6畳規模になると1畳分近く差ができるので注意が必要になります。
賃貸事業用において
事業用においても路面ビルは住宅と似たような条件設定をしている傾向にありました。ただ大手法人やリート物件の例も多くあるため住宅と比較すると地域差に影響されにくく、関東の設定に近い方法での募集が主流でした。店舗においては基本的には長期の入居となる場合が多いので、関西ですと礼金等イニシャルコストは比較的高めではありますが、更新料の設定がないことが多いため長期的目線で見れば金銭的負担は少ないのかと思います。
最後に
不動産賃貸業を営む上で、需要と供給や相場を知ることは重要なことですが、昨今では消費者もインターネットの普及により、容易に相場を知ることができるようにもなりました。
需要や相場を正確にはかり、適切な条件設定をすることが収益に大きく影響されますので、お困りごとの際にはぜひ当社にご相談ください。
ビル管理に関する無料ご相談
ビルマネジメント概算お見積もり
選択するだけですぐお見積もりできます
各項目を選択するだけで、おおよその見積金額を自動算出いたします。