建物を所有するオーナー様にとって、いつかは必ず実施しなければならないことの1つに建物の大規模修繕工事があります。特に事業用建物は、1つ例に挙げると、オーナー様資産が原因で漏水が発生し、入居テナントの営業に損害を与えるようなことがあった場合は、オーナー様にて改修工事費用及び営業補償を支払うことになります。建物の老朽化が原因で漏水した場合は、火災保険で修理代を賄うこともできません。
多くの費用がかかる工事のため、納得して大規模修繕工事を発注するためにも、なぜ大規模修繕工事を行うかを事前によく理解しておく必要があります。
大規模修繕工事を行う意義とは
①建物の適正な維持・管理による資産価値の維持
→必要な機能の維持及び回復
この場合の「維持・管理」は、日常のメンテナンスではなく「錆びている鉄部の塗装工事」や「屋上の全面防水工事」、「外壁の塗りなおし」などの工事を意味します。又、設備面でいうと給排水管の更新工事などが典型的な例です。
建物や設備は、使わなくても徐々に劣化して行きます。汚れやサビが目立っていたり、漏水等起こる事が頻繁ある場合は、まわりの評判も悪くなります。
大規模修繕工事はただ建物をきれいな状態に戻すだけが目的ではありません。外壁を覆っている塗装が劣化してきたら、コンクリートの中性化が進行し躯体の傷みが早くなります。又、コンクリートには時間がたてば必ずひび割れが発生する性質があります。そのひび割れも定期的に補修しておかないと、そこから雨水が入って中の鉄筋が錆びたりしてやはり躯体が長持ちしなくなります。
そのため、劣化した建物や設備の機能を初期の状態まで戻すことにより、建物の資産価値と美観を回復するが大規模修繕工事を行う意義といえます。
②法律の変更や時代に則した建物設備等のグレードアップ
→資産価値の向上
①の内容は、建物の「機能回復」を目的としています。しかし、大規模修繕工事のもう1つの意義は、建物をさらに良くするための「グレードアップ」が挙げられます。
グレードアップといっても漠然としていますが、いろいろな改善工事を指します。改善理由はいくつか考えられますが、事業用建物として最新型設備を備える必要があるか、法律の変更に対応するといったことを考える必要があります。
時代や法律の変化に対応しながら建物のグレードを高めて、資産価値を向上させることも大規模修繕工事を行う意義といえます。
これらの意義を踏まえ、大規模修繕工事をなぜ行うのでしょうか。
○事故防止(コンクリート・タイルの落下等)
- きちんと建物の維持・管理をされていないと、外壁のコンクリート片やタイルが落下して第三者に被害を及ぼすことにつながります。
○不具合の解消・予防(雨漏り、漏水等)
- 屋上から雨漏りがして入居しているテナントの営業に支障をきたす可能性があります。
- 排水管が破損して、下の階に排水がもれてきたり、排水管が詰って汚水が室内に逆流する可能性があります。
○耐久性の確保・延長(躯体、鉄部補修等)
○美観・快適性の向上(塗装等)
以上、大規模修繕工事を行う目的を見てきましたが、必ずしも「建物の資産価値を取り戻すため」だけではありません。
建物や設備に起因する事故を防止し、建物や設備が本来もつ機能をきちんと発揮させ、ビルを長持ちさせて、環境の変化や法律の変化に対応させ、いつまでも順調にビルの運営ができるようにするために大規模修繕工事を行うのです。
とにかく安く、という考え方もありますが、「汚くても我慢すればいいや。」とか「お金がないから止めてしまおう。」という次元ので問題の本質は解決されません。
それでも、大規模修繕工事を実施することの重要性はわかっても、費用面であったり、いつ・どのタイミングで行うか等、分からないことは多々あるかと思います。普段建物の管理を行っている管理会社等とよくコミュニケーションをとり、最適なタイミングでの大規模修繕の実施を積極的に模索してみるべきではないでしょうか。
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