不動産管理を行っていると、消防法や建築基準法などの様々な法律に関与することから、各行政庁へ「届出」や「申請」をすることが多いと思います。この「届出」と「申請」具体的に何が違うのかを解説いたします。
まず、行政庁に対しての行為である点では共通しておりますが、行政庁の許諾の応答が予定されているか否か、という点で大きく異なります。
行政手続法では明確に区別されている
「届出」は行政手続法では、一般的な「申請」とは明確に区別されています。
よく、「申請」は難しい手続きで、「届出」は簡単な手続きといったことが言われますが、実は手続きの難しさがその本質ではありません。
「行政手続法」にてそれぞれ下記のように記されております。
申請とは
法令に基づき、行政庁の許可・認可・免許その他の自己に対し何らかの利益を付与する処分(以下「許認可」という。)に対して行政庁が許諾の応答をすべきこととされているもの。
(行政手続法第2条第3号)
届出とは
行政庁に対し、一定の事項の通知をする行為(申請に該当するものを除く。)であって、法令により直接に当該通知が義務付けられているもの(自己の期待する一定の法律上の効果を発生させるためには当該通知をすべきこととされているものを含む。)
(行政手続法第2条第7号)
違いを認識していないとどういったことが起こるのか
「届出」と「申請」の違いを認識していないとどういったことが起こるのか、建物管理で関与する消防法から例えます。
消防設備を設置する際に必要な「届出」
消防設備を設置する際に必要な「届出」には、工事計画届・設置届・使用開始届等があります。設備設置の際の流れになりますが、基本的に必要書類及び設備が揃っていれば、消防署へ各種「届出」をすることで設備を設置する、又は設置した「通知」をしたことになるので、この時点で届出完了となります。消防署からの許諾は必要ありません。
しかし、場合によっては消防署の担当者が、建物内の他区画の状況等の理由で、新たな設備の設置や増設を求め、「届出」の受理をしない例もあります。どうして受理してもらえないのか、根拠となる法律を確認し対応することが大切です。
また、各担当者の考えもありますので、しっかりと話し合いましょう。
消防設備を設置する際に必要な「申請」
「申請」に関しては、「審査」を行うため、必要な設備や書類、条件が揃っていても行政からの許諾が必要です。
消防法で言うと特例適用申請、消防法令適合通知交付申請等があります。それぞれの法律の手引きに従えば特段問題になることはありませんが、法律の中にも様々な解釈があり、毎回同様のケースとも限りません。
区画とは何か、となった場合に、通常は壁で仕切られた空間を思い浮かべると思いますが、それがカーテンで仕切られていても区画とは言えます。「審査」がある過程で、必ずしも前例が全てではなく、法律自体も言い切ることが少ないので、機転を利かせた提案で「申請」が通ることも多々あります。
物件や状況によって内容が変わることもありますので、様々な視点から考えることも大切です。
このような「届出」と「申請」の違いを多少とも理解していることで、オーナー様やテナントに対しても適切な説明と対応ができ、法律上不要な点検や工事を減らす提案を出来るだけでも、各方面からの信頼を得ることにも繋がります。
お客様の目線に寄り添う意味でも、「届出」と「申請」の違いを認識しておきましょう。
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