賃借人が支払う家賃以外の費用

管理費・共益費

結論から申し上げますと、管理費と共益費は名称が違うだけで「建物(ビル・マンション等)の主に共用部分(廊下や駐車場、エントランス等)の日常清掃・維持管理費用や電気・水道代に当てられるもの」です。
オーナー・物件によって名称は違いますが、上記の目的で賃借人や区分所有者から徴収します。
また「管理共益費」などと記載する場合もあります。

 

修繕積立金

建物の管理組合が分譲マンションの専有部分の所有者から毎月徴収します。積立金ですので、管理組合が将来の修繕(外壁塗装・屋上防水工事等)に備えて計画的に積み立てます。

 

敷金

敷金は民法では以下のように定められています。

「いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう」(民法622条の2第1項)

つまり、賃借人の債務(賃料等の支払債務や、原状回復費用など)を担保する目的でオーナーが入居時に預かるお金です。
退去後の原状回復やクリーニング費用に充当されるケースが多いです。

 

保証金

こちらも先述の敷金と名称が違うだけで、基本的には同じ目的のお金です。
一般的には関東圏では敷金、関西圏では保証金と呼ばれることが多いですが、敷金と保証金の両方を設定する物件もあります。商文化の違いについては、こちらもご覧ください。

参照:関東と関西の商慣習の違いについて

 

礼金

発祥・由来は諸説あるようですが、漢字の通り「物件を貸してくれたことに対するお礼」のお金です。
賃貸人から賃借人に返還の義務はありません。主に関東圏で礼金有りの物件が多く見られます。

 

敷引

保証金もしくは敷金等の預り金のうち、賃借人に返還しないことが確定している費用です。
こちらは関西圏を中心とした西日本の一部地域に多く見られる商習慣です。
賃借人に返還しないという意味では礼金と同じですが、「保証金・敷金のうちで返還しない費用」という意味で使われることが多いです。

したがって、例えば家賃10万円の物件で
【敷金1ヶ月・礼金1ヶ月】と【保証金2ヶ月・敷引1ヶ月】はどちらも入居時に「20万円払う必要があり、そのうち10万円は返還しない」という意味になります。

※補足
敷引は「契約時にすでに還さないことが確定している」「一定期間経過した時点で還さないことが決まる」など(会計上)償却する複数パターンがあり会計処理も異なります。覚えておくと良いでしょう。

 

償却

前述の敷引と同じく、「返還しない費用」という意味合いで使われます。
償却の前に保証金や敷金が付き、「保証金償却」「敷金償却」と呼ばれることもあります。
例えば【敷金2ヶ月・償却1ヶ月】と【保証金2ヶ月・償却1ヶ月】と記載の場合は基本的に同じ初期費用がかかると考えてください。
また【2年以内に解約の場合、賃料の1ヶ月分】など初回更新を迎える前(早期に解約する場合)のみ請求するパターンもあります。

 

更新料

賃貸借契約期間が満了し、そのまま物件を借り続ける際の更新契約時に支払うものです。
更新後の新しい賃料の数ヶ月分と設定されることが一般的です。

 

保証料

保証会社に支払う費用です。
この保証とは「賃借人が家賃等を滞納した際、賃借人に代わって保証会社が建物オーナーに支払う」ものです。
したがって家賃等の支払いをオーナーに対して保証するものです。

昨今、連帯保証人を用意しなくてよい代わりにこの保証会社を利用する物件が多く見られます。

 

火災保険料

火災など、物件の専有部分内で事故があった際に修繕費等が支払われる保険に賃借人が加入するための費用です。
一般的に火災以外にも漏水などもカバーされます。こちらも保険加入必須とする物件がほとんどです。

 

解約違約金

契約開始後、定められた時期を迎える前に解約した際に発生する費用です。
あまりにも早い解約で建物オーナーが短いスパンで何度も賃借人・テナントを募集する手間を防ぐために設定されます。
先述の「償却」の説明に記載されている「何年以内に解約の場合~」の償却と類似した性質を持っています。

 

内装監理費

内装監理室もしくは内装監理者にかかる費用です。内装管理室(者)大規模な商業施設などテナント数の多い建物の新築・改装工事時に設置され、建物内部の統一感・美観が損なわれないように、各テナントの図面チェックや内装工事を監理する役割を担います。内装監理費は賃借人(テナント)が負担します。
 

現場協力金・現場負担金

新築の商業施設に入居する際に必要な費用です。入居テナントが決まった後、施設のオープンに向けて建物内部の工事にかかる費用を賃借人(テナント)に一部負担してもらうことが目的です。
物件によって様々ですが、主に工事中の光熱費や清掃費・警備費用、工事に必要な養生・仮設トイレの設置費用に充てられます。

 

販売促進費

商業施設全体で広告宣伝・販売促進を行うために必要な費用を各テナントで分担し負担するものです。
新築時は「開業販売促進費」として一時的に発生し、開業後は毎月「経常販売促進費」などとして設定されます。

上記の他にも商業施設では「駐車場負担金」「お客様送迎バス負担金」「決済端末リース料」「CAT端末利用料」など、内容は費用名目通りですが、施設運営に必要な費用を分担して各テナントで負担したり、施設全体で統一した設備の導入を目的とした費用があります。「売上の●●%」の場合もあれば「1m²あたり○○円」など面積に応じて設定されるケースもあるようです。

こちらに記載した内容は一般的なもので、物件や地域によって変わってきます。
また、両者間で金額・費用の認識相違があると、トラブルに繋がります。
契約前に扱いを正確に確認することをオススメします。

 

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By | 2023年5月17日

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