給湯器やガスレンジなどのガス機器を使用するには、「①公道から敷地内の引き込み」「②メーターの設置」「③使用箇所への配管」の3点が必要になります。
一般的に、使用箇所が確定しているビルであれば、新築時に③まで済ませていることが多いのですが、そうでない場合においては事案ごとに以下のように確認方法が異なります。
1.ガスの引き込みがない建物でガスを使用したい場合
A:都市ガス
まず前面道路にガスの本管が通っているか確認が必要になります。前面道路のガス管の確認は、例えば東京であれば東京ガスのサイトから確認申請をすることができます。存在の確認ができたら、東京ガスと提携しているガス会社に事前調査を依頼します。このような提携業者は前記①~③までの工事を請け負うことが多いので併せて相談されると効率がよいでしょう。
注意すべき点としては、前面道路を堀削する必要がありますので、申請から完了まで1ヶ月以上はかかることもあり期間を要することが挙げられます。
例えば、事務所として使用されていた区画に美容室が入居することになった際に、今までは電気給湯器だけで足りていたものの、美容室では多くのお湯を使用するため、ガスの引き込みが必要となる場合などがあります。
B:プロパンガス
敷地内に都市ガスを引き込むことができない場合、プロパンガスを使用することがあります。また、都市ガスと比較してパワーがある、道路を掘削せずにガスを供給できる、という理由から例えば中華料理などの飲食店やコインランドリー等の店舗で、あえてプロパンガスを希望するテナントさんもいらっしゃいます。
例えばコインランドリーの場合、住宅街の中の事務所区画などへ入居することも多くなってきておりますが、区画内へ都市ガス管の引き込みが有ったとしてもプロパンガスを引いていることがあります。
これも設置において注意すべき点が、ハード面・ソフト面それぞれあります。
まずハード面としては、敷地内にガスボンベと場合によってはそれを囲う塀を設置することがあり、そのスペースの確保が必要という点と、建物にガス管を通す穴がなければ新たに開けなければならないため、穴の位置や大きさ、また開けた穴の原状回復についても事前に取り決めを行う必要があります。
またソフト面としては、プロパンガスは一般的には都市ガスより料金単価が割高になる点があります。
例えば、オーナーさんにてテナント募集を行う際にプロパンガスを先に導入しても、沢山ガスを使用する美容室などのテナントにおいてはガス料金が割高になる「短所」として受け取られることもあります。それからもう1点は、建物内の配管などもガス業者が行い、区画の中にもガス会社の資産が存在することがあります。テナントさんにてガスの導入を行い退去する際に、ガス会社の資産も誤って撤去してしまうこともありますので、資産区分や解約時の取り決めなどを貸主様も把握しておく必要があります。
このあたりの注意点を抑えておけば、プロパンガスは後付でガスを導入できるため非常に便利なものになります。
2.区画内にガスがない場合
ビルにはガス管が引き込まれているものの、ガス管が引き込まれていない区画でガスを使用する場合です。
ガスは電気や水道と異なり、ほぼ使用者がガス会社と直接契約を行います。つまり貸主様が子メーターを読みテナントさんへ請求するということがありません。そのため、区画内にガスが引き込まれておらず、なおかつ当該区画のガス契約を分けたい場合は、ガス会社へ依頼し、ガス管の分岐工事と、メーター設置を依頼する必要があります。
例えば、一つの大きな区画を分割し、分割した区画の中でガスを使用したい場合などが該当します。
この場合、前面道路から新たに管を引き込み、建物の外壁を通して区画へ引き込むことができれば容量の心配はさほど無いのかもしれませんが、注意しなければならないのは、既存のガス管から分岐をする場合です。貸主様によっては、美観の問題からパイプスペースの中のみ新規配管の許可をされることもあるかと思いますが、当然工事の手間がかかりますので工事費用もかさみます。また、先に述べた前面道路からの直接引き込みと比較してガスの容量が制限され、また先に入居していたテナントさんのガスの容量に影響がでることもあります。
3.ガスの使用容量を増やす場合
ガス業者によく調査をして貰う必要がありますが、メーターだけの変更で足りる場合と、メーターに加えて公道側のガス本管も交換しなくてはならない場合があります。本管の交換は、メーターにつながるガス管をより太くし大きい口径にすることで、供給されるガス容量を増やします。
例えば、事務所として使用されていた区画に飲食店が入居する場合を想定します。今まではガスはミニキッチンにある給湯器でしか使用されていなかったので3号のメーターしか付いていないのですが、厨房でガスコンロや食洗機などでより沢山ガスを使用することになる場合、まずはガスメーターの号数を確認します。
あくまで目安ですが、飲食店におけるガスメーター号数の一例です。
06号=小料理、寿司、BAR、カフェ
10号=居酒屋、洋食、和食(そば、うどん、天ぷら等)
16号=イタリアン、フレンチ、ラーメン
16号以上 中華料理
注意点としては、敷地内・前面道路の既存の配管確認などから始めることになりますので1.のガス管新設よりも工期も費用も余計にかかる可能性も考えれます。
4.ガス管の分岐ができているかの確認
既に複数のテナントを入居させたことがある場合は、ガス管が分岐され、それぞれの区画用にメーターが設置されていることがあります。ただ、それがはっきりとわからない場合は、ガス会社に問い合わせをしてみると、以前の契約履歴からその区画用にガスメーターがあるか(あるということは分岐されていると推測)を確認することができます。
注意すべき事例としては、以前は二つの階にまたがって同じ借主が営業していた区画を、それぞれの階に別のテナントが入居する場合、片方の階にしかメーターがついていないことがあります。この場合、子メーターを設置してそれぞれの階の使用量が把握できるようにしなければなりません。ガス管が露出していればいいのですが、コンクリートに埋まっている場合などは調査も難航しますので、あらかじめ時間がかかることを想定する必要があります。
5.①③はあるが、②のガスメーターだけがない場合
これは都市ガスにあることですが、以前1.のように配管されてガスを使用していたのですが、長期間使用していないため、安全を考慮してガス会社がメーターを外していることが考えられます。使用再開する場合は、事前にガス会社に連絡をすれば設置してもらえます。
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