脱炭素の弊害について

今後の脱炭素について

昨今、脱炭素のニュースが各メディアを通じて多く発信されている中で、様々な業種・業態において脱炭素への取組みが求められております。
代表的なものでいうと車を内燃機関から電気自動車にすることや使用するエネルギーを火力発電から太陽光発電・風力発電に変更することで二酸化炭素排出をゼロにすることなどがあげられます。
脱炭素については、商業不動産に関しても取組みが促進されております。本情報サイト「貸しビル大百科」では、商業ビルの脱炭素の取組みの一環である「ZEB」について、以前にご紹介させていただきました。

 

脱炭素の潮流の変化

ただ、昨今、脱炭素の流れが大きく変わる可能性が取り沙汰されております。具体的には、現在、世界の約72%で使用されている石炭を利用した火力発電が今後も大半の電力を占める可能性があるからです。
今回は脱炭素の流れが変わっていく可能性について、ご紹介させていただきます。
上記の可能性が取り沙汰されている理由は主に「電力需要の増加に対して供給が追い付かない」点が挙げられます。
今後、世界の電力需要が増加する未来はほぼ確実です。AIの普及、EVの普及、新興国(インド等)の経済成長など、挙げればきりがないですが、これらを実現するには必ず電力が必要となります。

 

国際エネルギー機関(IEA)が2016年に発表した今後の電力需要でも2040年までに約1.3倍需要が増加する予測が立てられております。
しかし、この予測は2016年時点で立てられたものであり、今後、上方修正される可能性は非常に高いと思われます。

このような需要に対して、二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーで電力を賄えるかというと非常に疑問があります。以下のグラフは国際エネルギー機関(IEA)のデータを基に日本貿易振興機構(ジェトロ)が作成したグラフですが、9年間で再生可能エネルギーの比率が7%程度しか増えておりません。

多くの国が2050年までにカーボンニュートラル(二酸化炭素排出量を実質ゼロ)を掲げておりますが、今のペースでは目標を達成することはかなり困難なことがわかります。

※日本も2020年の臨時国会で2050年までに「2050年カーボンニュートラル宣言」をしております。

このように電力需要に対して十分な供給を与えるためにはまだまだ火力発電が必要だと考えられます。

 

石炭火力が見直される可能性

このような状況のため、世界では二酸化炭素を多く排出している石炭の見方が変わってきております。ロシア問題でドイツが石炭火力を再稼働しました。イギリスも30年ぶりに石炭採掘を再開しました。
また、「クリーン・コール・テクノロジー(CCS)」という火力発電を使用しながらも二酸化炭素を地下に埋めることができるテクノロジーも生まれております。

 

今後について

脱炭素の取組みは世界的なもので日々取組みが進化していく可能性があります。商業不動産においてもその時々で新しい取組みがされている可能性があるので、常に今後の動向を注視していくことが大事だと思います。

 

 

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By | 2023年11月24日

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