店舗の売上が低迷したり、人員不足になったり等の理由で賃貸物件を解約したいことがあるかと思います。
そういった場合に賃借人から中途解約を申し入れることもあるかと思いますが、中途解約は当然には申し入れできるわけではありません。
中途解約とは
ここで解説するのは賃借人から中途解約を申し入れる場合となりますが、契約書上で中途解約に関して定めがない場合は基本的には中途解約はできません。民法上では下記のように表現されています。
民法第617条(期間の定めのない賃貸借の解約の申入れ)
当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合においては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申入れの日からそれぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する。一 土地の賃貸借 1年
二 建物の賃貸借 3箇月
三 動産及び貸席の賃貸借 1日
(以下略)民法第618条(期間の定めのある賃貸借の解約をする権利の留保)
当事者が賃貸借の期間を定めた場合であっても、その一方又は双方がその期間内に解約をする権利を留保したときは、前条の規定を準用する。
これを簡単に言い直すと、下記表のようになります。
契約期間の定めがある | 原則 | 中途解約はできない |
---|---|---|
例外 | 契約書などで中途解約ができるとした場合には中途解約できる。 (民法618条) | |
契約期間の定めがない | 予告期間経過後にいつでも中途解約できる。 (民法617条) |
事例を基にした解説
例えば下記のような契約はどうでしょうか。
- 契約期間 3年
- 中途解約について特段の記載がない(「中途解約ができる」や「中途解約を禁止する」の記載がない)
答えは、中途解約はできないため基本的には3年ごとのタイミングでしか解約ができないとなります。
事業用の定期建物賃貸借契約における中途解約の考え方
事業用の場合、特に商業施設などのデベロッパーが運営をしている施設でも中途解約はできないと記載のあるものも多いです。
そうであっても中途解約をしたい場合に、残存期間分の賃料の支払いをすることで可とする場合もあります。
ただし、定期建物賃貸借契約の場合は契約期間が比較的長期であることが多いため、
例えば10年契約で3年満了をしたタイミングで中途解約をしたい場合に、残り7年分の賃料相当額を納めないと中途解約ができず、賃借人にとってはとても重いペナルティとなります。
最後に
中途解約は当然にできるものだという考えが多いですが、建物賃貸借においてはそうではありません。
貸主側から見れば利点が大きいですが、これを知らずに契約をしてしまうと後々のトラブルになりかねません。
契約時は事業用不動産に精通した仲介が入ることで、想定外の出来事を限りなく減らすことができます。
当社でもそのお手伝いができますので、お気軽にお問い合わせください。
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