現在、世界中で脱炭素を達成するため、EV:電気自動車(以下、EVという)が急速に普及しており、様々なメディアでEVに関するニュースが発信されております。
EVに関して、一見、商業不動産の業界関係者(ビルオーナー、ビル管理会社 等)には関係が薄い印象がありますが、決してそのようなことはございません。
なぜなら、EVが普及するために不可欠な「EV充電器」が商業不動産と関係してくるからです。
今後、EV普及のためにはEV充電器を様々な場所に設置しなければならず、商業ビルの駐車場も主要設置場所の一つに該当するからです。
以上につき、今回の記事ではEV充電器の一般的な知識や現状について記載いたします。
EV充電器について
EVを充電するための機械であり、EVが走行するためには欠かせない機器となります。
EVを普及させ、人々のインフラにできるか否かはEV充電機を如何に多くの場所に設置できるかが重要となります。
基礎充電と目的地充電
設置箇所については、主に基礎充電(自宅、職場など)と目的地充電(宿泊、商業不動産など)があり、現在、約9割が基礎充電となっております。
日本のEV化は約3~4%ですが、今後、EV化率を上げていくためには、基礎充電と併せて目的地充電も同様に普及させていくことが重要です。
EVはものによりますが、走行距離が平均で250~450㎞です。そのため、東京から車で地方に遠出をする場合、おそらく1度は充電が必要になります。その際に、目的地充電がインフラとして当たり前になれば、安心して遠出、宿泊などができるようになります。
今後、商業用不動産業では、目的地充電の設置・修繕などの提案が当たり前のように求められてくることが考えられます。
台数 | 割合 | |
---|---|---|
ガソリン車 | 938,750台 | 42.223% |
HEV | 1,089,077台 | 48.985% |
PHEV | 37,772台 | 1.699% |
EV | 31,592台 | 1.421% |
ディーゼル車 | 125,200台 | 5.631% |
FCV | 848台 | 0.038% |
その他 | 64台 | 0.003% |
計 | 2,223,303台 |
急速充電器と普通充電器
充電器の種類には急速充電器と普通充電器があります。
急速充電器はEVの充電を普通充電よりも素早く行うことができます。しかし、出力が高いため電池の寿命を縮めてしまうデメリットがあります。
普通充電器は急速充電より充電スピードが遅い代わりに出力が低いため電池の劣化を早めることなく充電をすることができます。
現時点では、普通充電器6kwを使用することで、電池に負担を与えず、数時間で充電を完了させることが充電器使用の最適解と考えられます。
充電器の種類 | 普通充電器(コンセント型) | 普通充電器(ケーブル一体型) | 急速充電器 |
---|---|---|---|
出力 | 1kw~3kw | 3.2kw~6.0kw | 20kw~25kw |
設置場所 | ・戸建住宅 ・事業所の駐車場(生活の拠点になる場所) | ・商業施設 ・宿泊施設 ・マンション ・屋外駐車場 ・カーディーラー ・病院 ・レジャー施設 ・コンビニ、スーパー | ・高速道路のSA/PA |
特徴 | ・低出力の低速充電 ・充電時間は10時間以上 ・ケーブルは付属していないためケーブルの持ち運びが必要 | ・充電時間は数時間程度 ・普通充電器の出力は「3kw」と「6kw」に分かれる | ・高出力 ・充電時間は1回10分~40分程度 |
※一般的なデータを基に作成
政府も充電器設置を推進している
日本政府は2035年までに乗用車新車販売における電動車の比率を100%とする目標を掲げ、その達成に向けて、 2030年までに30万口を目指してEV充電器の設置を増加させることを目標にしております。
基礎充電の設置目標は10万〜20万口とされており、集合住宅に住むEVユーザーの1割以上が住宅内で充電ができるよう、充電インフラの強化を図る方針です。
また、目的地充電については約15万台の設置が目標となっております。
補助金についても政府は方針立てをしており、2023年11月10日に令和5年度補正予算案が閣議決定されております。EVの普及促進に向けた充電・充てんインフラ等導入促進補助金には300億円が盛り込まれ、前年の補正予算比1.5倍の規模となりました。
経済産業省が公表した「充電インフラ整備促進に向けた指針」では、 設置目標が15万口から30万口に倍増し、急速充電の設置目標が3万口と据え置きである一方で、普通充電は12万口から27万口に倍以上増加したことを鑑み、大幅な増額となりました。
※今後、令和5年度補正予算案も本予算時に上方修正される可能性があります。
最後に
今後、どの程度のペースでEV化が進んでいくかは未知数ですが、世界中で脱炭素を掲げている以上、ほぼ間違いなくガソリン車はEVに置き換わります。
そのため、EV充電器は人々の生活から切り離せないインフラとなっていく可能性が高く、今後、どの業界にとっても重要な設備となってくることが考えられます。
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