店舗物件の賃料は、物件の価値を反映する重要な指標であり、その決定には多くの要素が関与します。今回は、店舗物件の賃料を決定する主要を、少し違った視点で考えていきます。
賃料相場をベースにした考え方
賃料相場という概念は存在しますが、店舗物件の賃料においてあくまでも参考程度に留めたほうが良いと考えます。
なぜなら、同じ街、エリアであるからこうだ、と一概に言い切れないからです。
例を挙げると、たとえば住宅であれば基本的に下記の要素でおおよその賃料相場が見えます。
「住む」という目的においては、同じような条件で同じような建物であれば、厳密な場所は問われにくいのが特徴です。
- 場所(駅からの距離)
- 広さ
- 設備や部屋の環境(建物の新しさを含む)
これが店舗物件になると下記のようになります。店舗の場合は「そこの出店をしてどの程度の売上・集客が見込めるか」が最重要になります。
そのため、例えば住宅では横断歩道ひとつ分は大した差ではないですが、店舗物件においては最重要な要素となるのです。
- 駅からの距離や前面通行量
- 視認性の良さ、看板の掲出場所
- 広さ
需要と供給における一般的な考え方
下記のようなABCDの店舗物件があり、建物のグレード等は同じで立地だけが異なるものだと仮定します。
そうした場合に、出店者側からみてどの物件が一番魅力的に感じるでしょうか。
- 物件A 駅出口から近く角地で視認性が良い、横断歩道の正面にあるため通行量が期待できる
- 物件B 駅からは近いが細い路地に入った物件であるため視認性が良くない
- 物件C 駅前通り沿いの角地であるが駅出入口から離れている
- 物件D 商店街沿いにあるものの、物件Aと比較すると通行量、視認性に劣る
もちろんテナントごとに魅力に感じる部分が異なるため、あえて静かな立地がいい等の事情はあるものの、
一般的には「好立地=視認性がよく前面通行量が多い場所」となるので、Aの物件が「人気がある傾向」とされます。
人気があるということは、「需要は高いが競合も多く供給が少ない」ため、賃料が高くなる傾向にあります。
よって、同じ街、駅から同程度の距離、同じグレードの建物だとしても全く需要が変わってくるため、
賃料相場はあくまでも街の評価に過ぎず、物件個々で評価することが大切といえます。
募集の際に「その賃料が適正だったか」をはかる方法として、「過度に申込が多かったか」も指標になります。
申込が想定以上に多い場合、一見それは嬉しいことのように感じるのですが、
物件に相当魅力があるか設定賃料が安すぎる可能性がある、もう少し高い賃料設定でも良かった可能性があるのです。
最後に
店舗物件の事例から賃料算出をすることは、住宅ほどサンプルが多くない店舗物件においては主要な方法ではあるものの、
「この物件がこうだから近くのこの物件もこれくらいだ」という査定は、物件そのものの価値を見誤ってしまうことに繋がります。
当社では豊富な経験から賃料設定についてもご相談いただけます。
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