はじめに
不動産賃貸ではあらゆる法律が関係し、代表的なものに借地借家法があります。
借地借家法は大原則は「借主保護」の考え方なのですが、今回は事業用不動産と消費者契約法を軸に解説します。
消費者契約法とは
消費者契約法は、消費者と事業者が締結する契約において、情報や交渉力で劣る消費者を保護するための法律です。
不当な勧誘による契約の取り消しや、不当条項の無効、適確消費者団体による差止請求など、消費者の利益を守り、国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的としている法律です。
「消費者」と「事業者」とは
ここで「消費者」と「事業者」という人物が出てきました。それぞれ法的な定義は下記の通りです。
消費者契約法 第二条(定義)
この法律において「消費者」とは、個人(事業として又は事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く。)をいう。
2この法律(第四十三条第二項第二号を除く。)において「事業者」とは、法人その他の団体及び事業として又は事業のために契約の当事者となる場合における個人をいう。
3この法律において「消費者契約」とは、消費者と事業者との間で締結される契約をいう。
つまり、簡単にまとめると下記の通りです。
法人・・・事業者
個人で事業または事業のために当事者であるもの・・・事業者
上記に該当しない個人・・・消費者
不動産賃貸借における消費者契約法
住宅を借りる場合で見てみましょう。
借主が個人 | 消費者契約法の対象 |
借主が法人 | 消費者契約法の対象外 |
まず、借主が個人で住宅を借りる場合には当然に住居として借りている限り、事業性はありません。
ゆえに、この場合の借主は消費者契約法における「消費者」として保護の対象になります。
また反対に、法人が住宅を借りる場合であっても法人であるからには事業性をもって借りています。よって消費者契約法の対象外となります。
次に、店舗・事務所のような事業用不動産を借りる場合を見てみましょう。
借主が個人 | 消費者契約法の対象外 |
借主が法人 | 消費者契約法の対象外 |
住宅と違い、個人名義であっても事業用不動産を借りる目的が事業として又は事業のために契約の当事者になることですので、消費者契約法の対象外となります。
実務においての差
例として、消費者契約法が適用された令和4年12月12日に最高裁判決を紹介します。
(概要)
賃貸人と賃借人(消費者)との間の賃貸借契約に関し、賃借人が家賃債務保証業者に対して賃料債務等を連帯保証することを委託した。その中には、家賃債務保証業者は一定の賃料滞納があったときに無催告で賃貸借契約を解除できる旨の条項及び、家賃債務保証業者は賃料滞納がある等の所定の要件を満たした場合、賃貸物件の明渡しがあったものとみなすことができるとする条項があり、これが消費者契約法違反に抵触するのではないか争われた裁判。
(判例)
消費者契約法10条に違反して無効
※詳しい詳細はお調べいただけますと幸いです。
このような事例の場合、消費者契約法に違反しているから無効、ということは言い換えれば消費者契約法に該当しなければ一定の範囲で有効とも読み取れるものです。
事業用不動産の賃貸借は、いわばプロとプロでの契約であり、借主といえども特別に保護する理由はないと解されます。
最後に
一般の住宅の賃貸借とは違い、事業用不動産の場合は消費者契約法に該当しないため、契約書の内容等が最大限尊重される傾向にあります。
そういった背景があるからこそ、事前にリスクになることが想定されることは契約書の内容でカバーし、余計なトラブルや支出を回避することが重要です。
当社は事業用不動産専門の管理会社として、事前に想定されるリスク等をご提案し可能な限りビルオーナー様の資産を守るようにお手伝いしておりますので、お気軽にご相談ください。
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